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「高畑勲展」爆笑問題・太田光と岩井俊二、それぞれの高畑勲像を語る 初公開資料も

2025/6/26 18:33

高畑勲の展覧会「高畑勲展 ー日本のアニメーションを作った男。」が、明日6月27日に東京・麻布台ヒルズギャラリーで開幕する。これに先がけ、本日6月26日に内覧会とオープニングセレモニーが開催された。

庵野秀明が手がけたレイアウトなど、初公開資料も

「高畑勲展 ー日本のアニメーションを作った男。」は、今年が高畑の生誕90年、また高畑の人生に大きな影響を与えた太平洋戦争の終戦から80年を迎える年であることから開催されるもの。2019年より各地を巡回した「高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの」をベースにしつつ、「火垂るの墓」に着目した展示や、初公開の資料も用意されている。

構成は「第1章 出発点」「第2章 日常生活のよろこび」「第3章 日本文化への眼差し」「第4章 スケッチの躍動」から成り、展示冒頭には年譜を掲示。未発表の企画「ぼくらのかぐや姫」や「太陽の王子 ホルスの大冒険」に始まり、最後の監督作品となった「かぐや姫の物語」まで、制作ノートや絵コンテ、レイアウトやセル画が豊富に展示された。「火垂るの墓」「平成狸合戦ぽんぽこ」「アルプスの少女ハイジ」のセル画・背景画は初公開のもの。また展覧会の準備の中で見つかったという、「火垂るの墓」より庵野秀明が手がけた“重巡洋艦摩耶(まや)”のレイアウト、樋口法子が手がけたハーモニーセルもお披露目された。

展示会場の1つ下のフロアでは、グッズショップとフォトスポット、コラボカフェを展開。フォトスポットでは大きなパパンダの体に飛びついて撮影できる。グッズショップには制作資料を活かしたものからお土産にぴったりなキャラクターグッズまで豊富なアイテムが並び、展覧会の図録も販売。コラボカフェでは「パパンダカレー」など作品をモチーフにしたメニューが楽しめる。

爆笑問題・太田光と岩井俊二、それぞれの高畑勲像を語る

オープニングセレモニーではまず、高畑の妻・かよ子氏、長男の耕介氏が登壇した。耕介氏は高畑作品について「映像表現に加えてより重要なのは、主人公から距離を取ってありのままの現実を見せ、観ている人にそれを能動的に捉えるように促すという描き方です」「主人公が活躍して気持ちよくなれるカタルシスではなく、しばしば感じる居心地の悪さは意図的なものです」とその独自性を伝える。また展示物の中から、高畑のこだわりが端的に表れているものとして「赤毛のアン」のオープニングフィルムを紹介した。

さらにゲストとして爆笑問題の太田光、映画監督の岩井俊二が登壇。太田はポール・グリモー監督「王と鳥」公開時の対談と、「かぐや姫の物語」の取材の場で、高畑と対面したことがあるという。高畑の印象を「作品に関してはすごく厳しい。自分に対して厳しいということだと思うんです。『このへんでいいや』が一切ない。会話の中では穏やかだけど、いざ仕事に向かうと妥協を許さない厳しさを感じました」と振り返る。一方、高畑と遠い親戚だという岩井は、学生時代にOB訪問のような形で高畑の元を訪れたそう。「めちゃくちゃ怖い方で(笑)。好きなものを作ることが、この世界でいかに大変なのかというのを2時間くらい聞いて。それが僕にとっては唯一、映像の先輩が語ってくださった言葉だったので、ずっと大事にしています」と回顧し、「『Love Letter』の最後のシーンは『おもひでぽろぽろ』のエンディングシーンをイメージしながら絵コンテを描いた覚えがあります」と影響も明かした。

好きな高畑作品を聞かれると、太田は「ホーホケキョ となりの山田くん」を挙げ、「きっちり描き込むんじゃなくて、自然な、抜けのいい画が、観ててすごく居心地がいい。それでいてすごくヒューマンドラマになっている」と魅力を語る。岩井は高校生のときに初めて観たという「太陽の王子 ホルスの大冒険」を挙げ、「なんだこの完成度は、と衝撃を受けて、折々で見続けている作品です」と紹介した。また今回の展示でもフィーチャーされている「火垂るの墓」については、「サクマドロップの缶を、何も知らない駅員さんが野球のフォームで投げる、あの残酷な演出は強烈ですよね。他人にとってはそんなものでしかないという。高畑さんらしい、厳しいアイロニックな眼差しが感じられてすごいなと思いました」と称賛した。

最後に「自身にとって高畑勲とは」と問われた太田は、「高畑勲という名前を意識したのはずいぶん大人になってからで、それ以前から体験として、気づいたときには僕の中に入っていた人。原点と言うと陳腐ですが、名前を知る前から中にいた人。そんなイメージです」と回答。岩井は「僕が幼稚園くらいの頃から、まるで僕らの成長に合わせて作品を作ってくれていたようで。我々の世代にとっては、そういう歩みをともにしてこられた、素晴らしい映像作家だなと思います」としみじみと述べた。

「高畑勲展 ー日本のアニメーションを作った男。」は9月15日まで。7月31日まで使える会期前チケットは本日23時59分まで販売中だ。

「高畑勲展 ー日本のアニメーションを作った男。」

会期:2025年6月27日(金)~9月15日(月・祝)
時間:10:00~20:00 ※最終入館19:30
※2025年6月27日(金)から7月18日(金)までの火曜・日曜日は10:00~17:00、最終入館16:30
場所:東京都 麻布台ヒルズ ギャラリー
料金:会期前チケット 一般1800円、専門・大学・高校生1500円、4歳~中学生1200円、会期中チケット 一般2000円、専門・大学・高校生1700円、4歳~中学生1400円

(コミックナタリー)
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