romance2さんがつけた評価
この親は珍しく潔く折れていて気持ちいい。
人は多分に職業で、身なりで、そして、出会い方で、他人を見...(続きを見る)
この親は珍しく潔く折れていて気持ちいい。
人は多分に職業で、身なりで、そして、出会い方で、他人を見定める。出身は容姿の上をいく優先度だ。
例えどれほど気に入った相手であっても、家名が大事なのは古今東西同じ。この「釣り合い」重視の結婚観は上流階級であるほど強烈。だからこそHQのドラマに感動がある。
家柄も申し分ない才女に対して、潮時と思えば即座に別れを決める冒頭近くのシーンは、彼のドライな面を示している。
一方で、母親が呼んでくれたパーティにヒロインを連れ出しこれ見よがしに紹介するシーン、これは、彼の駒として彼女の存在をアピールする趣旨。利用する目的はあっても、ただし娼婦程に扱う気は全くなかったが、居合わせた人々ににそうだと思わせた段階で既に、ヒロインの心は粉々にされた。なんだ皆そんな風に見てたのか、と気づいてからは耐えられない。
一定の学問をきっちり修めて成果を出した、専門分野に研鑽を積み、高い功績を挙げた人間に対する冒とく行為だ。学問一筋の人間は一面世間知らずであるが、何も知らされなかったヒロインが彼の喜ぶ顔が見たくて彼の望む通りに「特別な」パーティに出たことは、純粋な女心である。
彼女に対して全員が残酷すぎた。
博士号は大学に残って大学院に残ったからといって、自動的に研究結果に大学が与えるものではない。取得できていること自体、ヒロインが努力を惜しまぬ勤勉な人間であることの証。
お金はあっても、教養を磨くことにかけて、ヒロインよりも勤勉さが下回るといえる人が多かったであろう集まりにおいて、見下されるなど震えるほど悔しいこと。
初めの彼の弟や母親の言葉と行動には、ヒロインを一個の人間として尊重するところがない。
そしてこのふたりは、客とウエイトレスという立場であったからこそ出会えた。
情熱のまま余計な打算なく惜しむように二人の時を過ごした。
相手が何者かなどわかる前から恋に落ちていた。
相手が誰であろうと一緒になりたいという気持ちになった。まさに私的には最も好きなパターン。
私的には、酷い態度をとった連中のご免なさいシーンを見たいくらいだが脱線となるので諦めるしかない。
短期アルバイトのウエイトレスに「出会い」があった、というお話。
そして、彼はそれだけで終わらせたくはなかった、という、ロマンティックな展開のお話。(閉じる)
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