しぃさんがつけた評価
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養護教諭の支倉が、生徒の湖賀の隠されていた身体の傷跡に気が付き、過去の自分自身と重ね合わせてこの生徒を救ってやりたいという気持ちから始まるお話でした。
最初は試し読みで気になる感じで購入しましたが、思っていた以上にメンタル面を重視するお話でした。
支倉が過去にゲイだと家族にバレて家を追い出された過去の自分の姿と、両親が離婚して父親が母親に金の無心に来た為に、母親を救ってやりたいと思って間に入ろうとして大怪我を負った健気な胡賀が重なり合う様に見えて、なんとかして胡賀を救ってやりたい支倉は胡賀に携帯番号を書いた絆創膏をあげます。
何かこの場面を読んでいて凄くギュッと心が掴まれました。無意識に涙がホロホロと流れていました。
支倉は多分胡賀の事を無意識に守りたい!と思っていたので、絆創膏を渡したんだなと。
胡賀はそんな些細な事でも優しくしてくれて守ろうとしてくれた支倉に恋してしまった。
お互いに純粋な気持ちと恋が混ざりあった気持ちを感じ、相手の事を好きになっていた。
でも、そんな純粋な気持ちの恋は長くは続かない。
ある日学校からは遠い場所で映画を観にいって、その帰り際にキスしていた所を近隣住民?に写真を撮られていて学校に送りつけられ、責任を負う為に先生として支倉が辞める事に。
辞める日に学校でチラッと見た胡賀は泣いていた。
自分は胡賀を好きになっていたからこそ、胡賀を守ろうとして胡賀の未来ある将来を潰したくなくて離れる事を決断して、胡賀のいる街から去ります。
数年後、支倉は渡部というパートナーと一緒に暮らしていたけれど、胡賀以上に好きになれる相手が出来なかった。
胡賀を忘れられなかった。それでもいいから一緒にいて欲しいという優しいパートナーの渡部。
でも、渡部の勤務先の病院で胡賀とまさかの再会をし、再び胡賀に対する好きという気持ちが再燃する支倉。
凄く丁寧に描写されていて、挿絵がなくても目に浮かぶ位分かり易く構成されている文章に、二人の気持ちが手に取る様に分かり、気持ちが入り込んで読めるので、読んでいて自然に又涙が溢れる位です。
人によっては、え?というかも知れないですが支倉が迷子の様な気持ちをずっと抱えていたけれど、生徒なのに真剣に気持ちをぶつけてくる胡賀によって迷子だってた支倉は救われるんですよ。
私はいい作品に巡り会えたなと思ってます。気になる方は是非読んで見て下さい。(閉じる)
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